
1.菜園のプランニング
2.土作り・うね立て
3.タネまき・植え付け
4.追肥・中耕・支柱立て
5.用品の上手な利用法
1 菜園のプランニング
作りたい野菜をうまく組み合わせる
土づくりをしっかりとすれば、大半の野菜は多少の環境の違いにかかわらず育ちます。とはいえ、菜園の大きさや日当たり、水分(乾燥具合)などによって向き不向きはあるので、条件に適した野菜を選ぶ配慮は必要です。
また、家庭菜園は複数の野菜を育てたほうが楽しいもの。そこで、比較的栽培のしやすい一般的な野菜の中から自分が作りたい野菜を選び、季節ごとに栽培プランを立てると1年を通じて収穫が楽しめます。
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春
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1区
ナス・
ピーマン -
2区
トマト
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3区
トウモロコシ
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4区
キュウリ
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5区
ゴボウ
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秋
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1区
キャベツ
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2区
タマネギ
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3区
ダイコン
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4区
コマツナ
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5区
ゴボウ
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※輪作の一例
連作障害を避け輪作する
同じ野菜を作り続けると連作障害※が生じる場合があります。 特にナス、トマト、ピーマン、ジャガイモなどのナス科の野菜やサトイモ、エンドウ、ソラマメなどは障害が出やすいので連作を避けるようにします。
連作障害を防ぐには、異なる種類の野菜を栽培する輪作が有効。
栽培プランを立てるときには、菜園のどの場所にどんな野菜を作るか、連作にならないよう考慮しながらプランニングすることが大切です。
※連作障害
毎年同じ場所に同じ野菜をつくると病原菌が増殖したり、土中の成分が偏って年々生育がわるくなってきます。これが連作障害です。
2 土作り・うね立て
まずは、土をよく耕す
野菜を丈夫に育てるには、根がよく伸び、水分や肥料が十分吸収できるような土壌にすることが大切です。
そのためには、まず土をよく掘り起こしてフカフカの状態にすること。こうすることで土の中に空気や水分の入るすき間ができ、根もよく張ります。また、必要に応じて石灰を施し、土壌の酸度を調整します。酸度を測定する器具は園芸店やホームセンターなどで手に入ります。
酸度のチェック
雨が多く温暖な日本の土壌は、酸性になりやすい傾向があります。 野菜にはそれぞれ育ちやすい酸度があるので、植え付け前に土壌の酸度を測定し、最適なph値よりも低い場合は石灰をまいて調整します。
初心者には、土づくりの時に一緒に施せる「苦土石灰」がお勧めです。

有機物を混ぜて野菜好みの土に
土をフカフカの状態に長く保つには、有機物の堆肥、腐葉土などをまいて、土の中にすき込むのが有効です。
初めて野菜をつくるところでは、20~30cm以上土を掘り起こし、堆肥や腐葉土を1㎡当たりバケツに1杯(4~5kg)ほど全面にまき、すき込みます。
堆肥が完熟していないと野菜の根を傷めてしまいますので、植え付けの1〜2週間前に土づくりをしておきます。
元肥を施し、うねを立てる
土を耕したら表面を平らにならし、元肥を施してうねを作ります。
うねは、野菜の種類や栽培期間、日当たりなどによって、広さ・間隔・方向・高さなどを変えます。
大きく植え広がる作物は一条植えでゆったり育てるため、うね幅60cmくらいの「普通うね」に。狭い菜園では効率よく野菜をつくりたいので、2条植えにするための「ベッドうね」をつくり、条間に余裕をもたせたうね幅にします。
ベッドうね
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平うね
水はけがよく、耕土の深い菜園に適し、土地を有効に利用できます。
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高うね
排水があまり良くなく、耕土の浅い菜園は高いうねが適しています。
3 タネまき・植え付け
直まきか移植か
野菜づくりには、タネを直接菜園にまく直まき栽培と、ポットなどで育てられた苗を植えつける移植栽培があります。
ダイコンやニンジンなどの根菜類や、栽培期間の短いホウレンソウ、コマツナなどの軟弱野菜は直まき栽培に、これ以外の野菜は、管理の点から移植栽培をお勧めします。
苗作りは手間もかかり、育苗が難しい野菜もあるので、初心者は園芸店などでポット苗を購入するのが無難です。
タネによってまき方が違う
タネまきの方法には、すじまき、点まき、ばらまきの3種類があり、野菜の種類やタネをまく場所によってまき方を選びます。
すじまきは、管理がしやすく広く用いられているまき方で、ホウレンソウ・コマツナ・ニンジンなどに適しています。
点まきは、ダイコンやトウモロコシなどに適し、タネとタネの間を離してまくのがポイントで、間引きがしやすくなります。
ばらまきは生育期間の短い野菜に適しています。
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すじまき
深さ0.5~1cmのまき溝をつけ、そこにタネをまく。
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点まき
栽培する野菜に適した株間をとり、その位置にビンなどでまき穴をつけておく。
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ばらまき
うね全体に平均的にタネをまき、間引きながら生育させる。
苗の選び方
野菜づくりでは、よく「苗半作」といいます。
これは「植えつける苗の良し悪しで収穫量の半分が決まる」という意味。
それだけに、良い苗を見極めることが大切です。
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良い苗
A.葉が厚く、色が濃い
B.病気や害虫がついてない
C.茎が太く節間が短い
D.子葉がしっかりしている
E.土が崩れていない
F.根張りがよく、根の先端が白い
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悪い苗
G.葉の色が淡い
H.虫がかじっている
I.下葉が黄色くなっている
J.茎が細く節間が長い
K.子葉がなかったり、痛んでいる
L.土が崩れ。根鉢が小さい
M.根が黄褐色をしている
根鉢はくずさないこと
ポット苗を移植するときは、ポットをさかさまにして苗を手で受けとめると株を傷めずに簡単に外せます。
そして、掘った植え穴に速効性の肥料(化成肥料など)を1つまみほど施して土と混ぜ、その上に根鉢をくずさないように苗を植えつけます。
その際、株元がやや高くなるように調整します。
土が乾いているときは、植えつけた後に苗の周囲に浅い溝をつけ、ここに水をやります。
苗の植えつけは曇った風のない日が適しています。

4 追肥・中耕・支柱立て
追肥で成長を促す
生育期間の長い野菜は、元肥として施した肥料成分が吸収されたり、雨で流出して肥料切れになってきます。そこで、生育状態を見ながら追肥し、成長を促します。肥料は根の先端で吸収されるので、根張りを確かめ、根の先端付近の表土に施して土にすき込みます。
追肥には化成肥料や油かすなど速効性の肥料を用いますが、一度に多く施すと根が傷むことがあるので、少なめにして何回かに分けて(一般に3回前後)追肥します。
中耕で土をほぐす
よく耕してやわらかくした土も、雨などの影響で次第に固くなってきます。そこで、根を傷めないように気をつけながら、クワなどでときどき表土を軽くかくように耕し、土をほぐして空気を含ませます。
細かい雑草を取り除く効果もあり、この作業を「中耕」といいます。そして、中耕で軽く耕した土やあぜ間を耕した土を株元に寄せる作業が「土寄せ」。
土寄せをすると株が安定し、水はけもよくなります。
追肥・中耕・土寄せ
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うね肩やうね間など株から離れたところに化成肥料をまく。
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表土を軽く耕して、まいた肥料を土にすき込む。
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表土を軽く耕した土やあぜ間の土を株元に寄せる。
倒れないように支柱を施す
ツルや草丈を伸ばすキュウリ、トマト、ナスなどの野菜には、均一に伸びるように支柱を立て、これに結びます。
草丈が伸び、実がなるにしたがってかなりの重みになるので、支柱は土の中にしっかり差し込み、補強の支えを施して倒れないようにします。
また、ツルや茎は次第に太くなるので、余裕をもたせてゆったりと結ぶのがコツ。
支柱と支柱、野菜と支柱を結ぶものには、繰り返し使えるビニールタイが便利です。
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ナス
肥切れさせないよう15〜20日に1回ほど追肥を。
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キュウリ
元肥を浅い層に全面に施し、追肥も十分に。
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ニンジン
酸性土に弱いので、苦土石灰などで酸度調整を。
5 用品の上手な利用法
道具や材料
野菜を作るには、やはりそれなりの道具や材料が必要です。
JAや農機販売店に行くと、さまざまな種類のものが並んでいて、どれを選んでいいのか迷ってしまうほど。
まずは、自分の野菜づくり作業に合わせて、必要なものから揃えるようにしましょう。
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用具
農機具は、作業の効率を高めるための先人たちの知恵の結晶。使いこなす楽しさもあります。店頭で手に取って使いやすさを確かめ、吟味して選びましょう。
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タネ、苗
タネは、一般的に市販されているものであれば、まずどれを選んでも大丈夫です。ただ苗の場合は、流通過程で痛むこともあるので“良い苗”を選ぶことが大切です。
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土壌改良材
苦土石灰や油かす、鶏糞、化成肥料など土づくりに用いるのが土壌改良材です。菜園の土の性質や育てる野菜によって必要なものが異なるので注意しましょう。
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薬剤
せっかく自分で作る野菜には、できるだけ農薬は使いたくないもの。病害虫の発生予防を第一に考え、必要なときは店員に相談して選ぶようにしましょう。
用具にこだわる
野菜づくりでは、用途に合わせて色々な道具が用意されています。
いずれも作業の負荷を軽くしてくれるもので、目的に合った自分の道具にこだわってみるのも楽しみのひとつです。

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3.タネまき・植え付け
4.追肥・中耕・支柱立て
5.用品の上手な利用法